リニューアル

「スクラップ&ビルド」から「ストック&メンテナンス」へ建物の性能・価値を向上させるリニューアル提案に取り組みます

建物の性能は、経年とともに配管の閉塞・腐食や設備機器の摩耗・故障といった劣化(物理的劣化)により快適さが失われ、維持保全に多大なコストがかかります。したがって、建物として必要な性能を維持するための点検・保全計画を立案し、定期的なメンテナンス・修繕を行うことが大切です。
また、省エネルギー・省資源といった技術の進歩、社会の変化に伴う法改正、建物利用者の要求レベルの変化によって、建物に求められる性能は時代とともに高度化します。そのため初期の性能レベルのままでは、経年とともに相対的に建物の価値を低下(社会的劣化)させることになります。
当社では、中・長期保全計画を提案し建物の機能維持を図るとともに、設備診断によりリニューアルの動機・必要性を明確にし、建物の性能・価値を向上させるための改善提案を行います。これら取り組みにより、建物性能を社会的要求レベルに向上させることを目的としたリニューアル(大規模修繕工事)を提案します。

リニューアルの流れ

設備診断

劣化診断

リニューアルの動機となる要因を明確化するために、建築設備の劣化の程度を評価する「劣化診断」を実施します。

  • 一次診断
    ヒアリングや設備点検記録並びに外観調査等により、現状設備の劣化レベルを把握します。
  • 二次診断
    内視鏡・X線・超音波診断計器等の非破壊検査機器を用いた非破壊検査を行い、配管・機器内部等の劣化程度、余寿命を判定します。

さらに状況に応じて、サンプリング調査を実施し、配管の劣化(腐食)要因を考察します。

非破壊検査機器(超音波厚さ計)
内視鏡による管内調査

省エネルギー診断

省エネルギー・省資源といった社会的要求に対応する設備システムに機能を向上させるためには、建物のエネルギー(電気、ガス、油等)消費量を把握することが重要となります。空調送風量・送風温度・室内温湿度等の計測により、空調システムの運転状況を把握する省エネ診断を実施し、効率的な機器運転手法について検証を行います。

現地計測用機器

耐震診断

2011年の東日本大戦災や2016年の熊本地震においては、建築構造物の被害は軽微であったにも関わらず、受水槽廻りの配管が破損する等の建築設備の被害により、施設の機能が失われ日常生活や生産活動に支障きたす例も見られました。このように、地震後においても建物を継続使用するためには、水や電気などのライフラインの確保が重要となります。そのため建築設備は、設備耐震に関係する様々な指針や基準に合致する耐震性を確保する必要があります。
当社では、受水槽、高架水槽をはじめ、各種配管や設備機器の耐震診断を行い、適切な建築設備の耐震改修計画をご提案します。

水槽廻りの配管の耐震対策

改善提案

設備診断の結果を基にリニューアル計画について検討を進めます。
検討において、エネルギーの見える化、気流シミュレーション等の当社技術メニューを活用することで、最適なリニューアル計画を提案します。

エネルギーの見える化(BEMS※1)による省エネ提案

省エネルギー対策を行う上でエネルギーの消費量、ならびに設備の運転状況を把握し、無駄を見つけ適切な運用を行うことが重要となります。
小規模ビルでも手軽に導入可能なSCADA※2ソフトを利用した運転監視システムによりエネルギー消費量の「見える化」と「運転状態の解析」を行い、具体的な省エネ改善提案を策定します。

  1. ※1BEMS (Building and Energy Management System):ビル・エネルギー管理システムビルの機器・設備等の運転状態を計測・監視等を行い、管理・運用することによってエネルギー消費量の削減を図るためのシステム。
  2. ※2SCADA (Supervisory Control And Data Acquisition)は、産業制御システムの一種であり、コンピュータによるシステム監視とプロセス制御をいいます。

気流シミュレーションを活用した快適環境改善提案

室内環境の向上を図るためには、単に冷暖房能力を向上させるだけでなく、気流解析により室内気流や温度分布を予測することにより、室内気流性状の適正化を図ることが重要となります。
気流シミュレーションを活用した検討により、室内の快適性を向上させ、省エネルギーを図る空調システムを提案します。

性能検証

当社では、企画・設計、施工、運用の各段階において検討会や各種検査を実施することで、当該プロジェクト(リニューアル工事)が当初の設計趣旨に沿って進んでいるかを確認します。
竣工前引渡し段階から竣工後の運用段階に省エネルギー効果検証、室内環境測定といった機能性能試験を実施し、設備システムの性能が要求性能を満足していることを検証します。

性能検証例

室内の温湿度を一定範囲内とすることが要求される空調システムに対する機能性能試験を実施した例を示します。
下記例では、複数の測定点(W1~W7の7点)について温湿度測定を実施し、外気の影響を受けることなく安定した室内温湿度が維持され、要求される温湿度範囲(温度:18℃~22℃、相対湿度:55%~65%)を満足することを確認しています。

計測用機器